アール・ヌーヴォー

生活を彩る「新しい芸術」

19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に隆盛した芸術運動を「新しい芸術(アール・ヌーヴォー)」と呼びました。多くの繊細な曲線、昆虫や植物などの自然物をモチーフとして組み合わせた女性らしいデザインが特徴です。

芸術アカデミーに見られるような保守的な美術ではなく、富裕層を中心に幅広くライフスタイルとして美や芸術と向き合うことが目指されました。
そのため、より求めるデザインを安価に実現するため、当時としては新しい素材であったガラスや鋼鉄も積極的に作品に取り入れられました。

こうした動きから絵画だけにとどまらず、建築や生活工芸品、書籍やポスターのデザインなど、生活を取り巻くアイテムのすみずみにまでそのセンスが反映されました。現在でもパリのメトロ出入口や16区などでアール・ヌーヴォー様式を見ることができます。

◆主な展示デザイナー◆
アルフォンス・ミュシャ
エミール・ガレ
ドーム
G.A.ルソー

本物の昆虫を利用したブローチ

この頃はエジプト発掘が進み、さまざまな発見があったこともあり、異文化への注目が集まり始めました。また都市化・工業化のなかで自然の持つ美への回帰が強くデザインに反映されています。

素材を活かすデザイン

アール・ヌーヴォー(新芸術)の名にふさわしく、この時代はそれまで主役として使われていなかった素材や技術が作品に積極的に取り入れられています。
当時としては目新しい素材であった水牛の角を使ったジュエリーは使う部位によって異なる色あいを楽しめ、自然の素材ならではの斑紋と柔らかな質感が魅力です。

装身具の世界にこめた芸術性

七宝(ガラス質の釉薬を使って絵柄をつける技法)やカットガラスなど、彩りとして使われることが多かったガラス。この時代の大ぶりなペンダントヘッドには写真のような装飾的なガラスが多く見られます。
職人たちが自らの芸術性を装身具に落としこみやすいものがペンダントヘッドだったのかもしれません。

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